富士山寄生火山 背負子山(1260m)、神座山(1280m)、鹿ノ頭(1320m)、猪ノツブレ (1350m) 2011年12月25日
所要時間 6:45 精進湖登山道入口−−7:30 背負子山−−7:41 神座山−−8:32 鹿ノ頭−−8:49 猪ツブレ−−9:58 精進湖登山道入口
概要
精進口登山道より廃林道も利用して背負子山→神座山→鹿ノ頭→猪ツブレの順に登る。背負子山は地形図を見てもピークが見られないが、GPSで指定位置に行っても明瞭なピークは無く、逆にでかい凹みがあった。周囲は人跡未踏の深い樹海のど真ん中。溶岩で凸凹だらけ。神座山は山頂まで廃林道が続く。山頂付近は伐採されて明るい。鹿ノ頭は神座山から樹海を横断して登ったが常識的には天神峠からが良い。北側ピークには刈り払った道があるが山名事典の山頂には道が無く笹藪を漕ぐ。山頂は檜植林で笹が切れている。猪ツブレは鹿ノ頭から登る。西から北斜面は笹藪に覆われていたので笹が消えた北東側から登る。山頂と南斜面は樹林皆無でススキの原っぱで展望が良い
山梨県内の富士山寄生火山の残りはたぶんこの4山のみ(改訂山名事典に新規記載が無ければ)で、今回で一段落する。これらの山は大室山の南から南東にかけてまとまっており、一気に片づけられるのでちょうどいい。ただ、背負子山だけは地形図を見てもピークを見いだせず、山名事典記載の緯度経度をGPSに入れて場所を確認するしかなさそうだ。他の3山は明瞭なピークなので問題なかろう。
精進口登山道入口 | 第2のゲート前で右の林道に入る |
右の林道にもゲートあり | 明るい落葉樹林を進む |
毎度の精進湖登山道入口から出発。ゲートを超えてしばらくは登山道を行き、右に別の林道が現れたところでそちらに入る。すぐにゲートがあるが歩く分には問題なし。あとは方向があっている限りは林道を辿って谷間を登っていく。他にも分岐があるが、概ね希望の方向(南)に廃林道が続いていた。まだ樹海エリアではなく植林や明るい落葉広葉樹林だ。
廃林道化 | でもまだ林道は続く |
唐松植林帯で林道消失 | 浅い谷沿いを進む |
樹海に突入 | この穴が背負子山の位置 |
傾斜が緩んで唐松植林帯に出ると谷添いの廃林道が消失、適当に谷を登っていよいよ樹海に突入。GPSの表示と方位磁石を頼りに進んでいく。平坦地になるとどこからともなく廃林道が登場し、少しの間はそれを利用したが、GPSの表示と進行方向がずれてきたので林道を外れて樹海に踏みいる。樹林が深くてピークがあるのかどうか全く不明。しかもこの樹海は溶岩のでこぼこがかなりひどく、高さ数mの盛り上がりや谷筋の連続で平坦地がなく、歩いて疲れる地形だ。GPSの表示を頼りに背負子山のポイントに到着すると、存在した地形はピークとは逆の大穴だった。火口の跡か、それとも溶岩洞窟が陥没した跡か。全く山頂の雰囲気はないが、この一帯が山頂なのだろう。
樹海を横断 | 林道に出た |
神座山を登る | 神座山山頂 |
次は神座山。GPSで進行方向を確認し、方位磁石でほぼ真東方向に進む。一般的には青木ヶ原樹海は磁性溶岩で方位磁石が効かないと言われているが、私の経験ではそのようなことは皆無に等しく、毎度方位磁石のお世話になっているが問題が発生したことがない。ピークが見えたところで廃林道を横断、唐松植林帯に変わって明るくなり、山頂直下でまた林道を横断し、山頂に到着したらまた林道があった。どこにつながっているのか不明だが、もしゲートがなければ神座山は車で山頂まで登れてしまう山だった。山頂近辺は伐採されて明るいが、周囲は植林されたままで展望はない。山頂標識も皆無だった。
また樹海へ突入 | 樹海中は平坦地が無く歩きにくい |
次は鹿ノ頭。GPSで方位を確認、真南よりやや西方向に向かう。廃林道が使えるかと思ったが東へと逃げてしまったので再び樹海に突入。人跡未踏と言っていいような深い樹海で魔界の森のようだ。相変わらずアップダウンの連続で平坦地は皆無、もし溶岩流が流れたのならもっと平坦地になっていいような気がするが、どういうメカニズムでこれほどでこぼこなのだろうか。マクロな視点では平坦地なのだが・・・。
明るくなると平坦に | ススキの原に出た |
いい加減イヤになる距離を横断してやっと明るくなると同時にでこぼこが消失し、急に歩きやすくなった。どうやら樹海の核心部を通過したらしい。もっと明るい場所が左手に見えたのでそちらに向かうと、樹林がさっぱり消え失せてススキの広大な原っぱだった。右手にピークが2つ並んでおり、右側が鹿ノ、左が猪ノツブレだろう。まずは鹿ノを目指してススキの原を直進する。
鹿ノ頭 | 廃林道脇の放置車 |
廃林道 | 鹿ノ頭に取り付く |
西斜面は籔無し | 尾根を進むと笹が登場。でも刈り払いあり |
やがて廃林道らしき道に出てそれを辿ると鹿ノ頭北麓から西側に回り込むように道が続き、適当なところで斜面に取り付いて上を目指す。北西斜面で藪は皆無で歩きやすいが、この辺りの植生は南斜面は強烈な笹藪が多いパターンなので稜線はどうだろう? 尾根に乗って高度を上げると笹が出現したが、意外なことに刈り払われた跡があるではないか。植林帯なので作業道か?
刈り払いから笹藪に突入 | 結構な密度の笹 |
ピークに到着してGPSの表示を確認するとここは山頂ではなく南に約100mと出た。そしてその方向は笹藪。まあ100mなら我慢の範囲と覚悟し乾いた笹藪に突入。視界は無く鹿道を利用してできるだけ南よりに進路を取る。もちろん見える範囲の地形を確認し、尾根を外していないかチェックは怠らない。平坦な尾根だがなかなかの笹藪が続き、鹿道がなければかなりの藪漕ぎとなる。
たまに空間あり | 鹿ノ頭山頂 |
やや右に回り込んだところで笹を突き抜けて地面が出た檜植林に到着。この付近が最高点であった。展望皆無。標識も皆無。来るのは鹿ぐらいか。一応、目印を残しておいた。
猪ノツブレ向けて再び笹に突入 | でもすぐに薄くなる |
しかし鞍部付近から笹の連続 | 鞍部に刈り払われた道あり |
目印 | 北東斜面は笹無し、鹿道多数あり |
最後の猪ノツブレ。進路を東に変えて笹が薄い箇所を選んで下る。少しの間は笹が無くなって喜んだが、鞍部から反対側の登り斜面は一面の笹藪だった。げげ、これは登るのはちょっと・・。過去の例からすれば北斜面には笹が無く楽に登れるパターンが多いので、鞍部に下って北側に迂回してから登ることに。笹をかき分けて鞍部に出ると刈り払われた道が登場、往路に通過した広い笹原に向かって下っており、これを辿って山頂北東側に回り込むと予想的中で笹が切れ、簡単に上がれるような植生に変わる。縦横無尽に鹿道が交錯、人はほとんど入らないはずだが鹿の楽園だ。
山頂直下 | 猪ノツブレ山頂 |
猪ノツブレから見た南側の展望(クリックで拡大) |
適当に上を目指して斜面を登り切って猪ノツブレ山頂に到着すると意外な光景が。ここも笹藪だと予想していたが、なんと南斜面は樹林がきれいさっぱり無くなってススキの原っぱが広がっていた。日差しが眩しい! ススキの背が高いので展望がいいとはいえないが休憩にちょうどいい場所だ。今回はまだ疲労感は無いのでこのまま下山だが。
ススキの原の廃林道を進む | 北方面に進む林道をつないで歩く |
途中に気象観測ロボット? | 大室山へ向かう廃林道 |
一時的に樹海を横断 | 大室山東山麓の廃林道に乗る |
北側の広大な笹原に出て林道に出て、帰りは大室山東山麓を回って登山口に戻ることにした。往路のように最短コースを取るとあのでこぼこ連続の疲れる樹海を横断することになり、それよりも距離は増えてもなだらかな大室山麓を歩いた方がずっとマシだとの判断からだ。ススキの原は展望がいいので目視で大室山山麓を目指す。廃林道の分岐で左に入って進むと往路で通った廃林道だった。鹿ノ頭で斜面に取り付いたポイントを通過、しかしこのまま林道を進むと大室山を東から巻いて南側に抜けそうであり、樹海を少し横断するだけで大室山東山麓に取り付けそうな場所まで来てから林道を離れ、100mくらい樹海を突っ切って山麓へ出るとここにも廃林道が登場。この廃林道が暗い樹海と大室山山麓の明るい落葉樹林の境界線で、でこぼこが無く非常に歩きやすい。
林道上の鹿のヌタ場 | 大室山側は明るい落葉樹林 |
大室山の東を回り込んで北側に出ると林道は幅が狭くなって作業道に変化。溝のように掘れた筋が続くが、木の枝等が集まって歩きにくいので「土手」を歩いた。地形図を見るとこのまま下ってもいいのだが、北に進路を移して尾根を一つ超えれば往路で通った廃林道に出るので植林帯の尾根をトラバース、傾斜が緩むと廃林道だった。
ゲートの看板 その1 | ゲートの看板 その2 |
ゲートの看板 その3 | ゲートの看板 その4 |
すぐに精進湖口登山道と合流、登山口に出た。
今日は山歩きというより樹海の探検気分を味わったコースだった。なお、今回のルートはピーク以外は明瞭な地形はなく、樹林が深くて周囲の地形も見えないためGPSと磁石、地形図が必携である。奥深い人跡未踏の樹海核心部も歩くことができ、それなりに楽しめると思う。ただ、素人が入るとマジで道に迷うので要注意。地形図にない林道が縦横無尽に走っており、どこにつながっているのかも不明なので下手に林道を歩くのも危険。